
2023-07


こだまする 百年を経て タゴールの春の歓喜(よろこび) 私の真夏

句も歌も私の中に降ってきてひとつひとつを書架に飾るの

昨晩の夢に出てきた真赤なるアジサイを、ねぇ、いただけますか。

伊右衛門のペットボトルの底にある「おおきに」の文字 キャップを開けた

昨晩のコードブルーの方の部屋なんで空っぽ 黙礼ひとつ

三週間ぶりに飲んだコーヒーの香りの強さ 八月二十日

六月に亡くした臓器 そのばしょにきっとなにかがやどっているの

心臓も脳も手足も動いてて「生きる」を思う八月の我
