
上原美樹。


赤き血を 流す 吾が子は 赤き血を 流させる 吾子 やめよ いくさを 誰も望まぬ 戦を 止めよ

目の前に 今 いる ひとも わたくしも 母の胎《はら》から うまれた いのち

唐突に 落ちるかりんの おと響き すずめとびたち のちに静寂

ちまちまと 肩寄あって 並ぶ家 夕陽の作る 影の長さよ

さらさらと 竹葉うたう 上空に 名残の雪の 雲のたなびく

うそ ひとつ こぼれ生まれる 波の輪は こころにしみて 我を 揺さぶる

行くあての 決まらぬ旅を 続けたる すべて命は 塞翁が馬

ゆうべ みた ゆめのかけらを だきしめる しろつめぐさの あおぐそら 青
