家を出て立ち止まる交差点あの日の声がまだ響く街
題『家』 にて
雲間から差す光にも気づかずに 通知ばかりを追う昼下がり
題『雲』 にて
「さしすせ」ば母のレシピの文字の中 暮らしをつなぐ小さな工夫
題『自由詠』 にて
川の字で寝るは昔と母が言う 今はスマホとひとりの夜更け
題『川』 にて
マスク越し吸う息重く改札を抜ければ都会のざわめきの中
題『吸』 にて
手を振れば画面の奥で応えくる 距離を越えたる笑顔のぬくもり
題『手』 にて
水しぶき跳ねるイルカの群れを見て笑顔こぼれる夏の記憶よ
題『夏(テーマ詠)』 にて
止まぬ雨 傘シェアアプリ呼び出せば知らぬ誰かと同じ屋根下
題『止』 にて
また雨が降るたび君の傘の色、思い出すたび街がやさしい
題『また』 にて
蝉時雨 終戦の日の入り日受く語りし声は遠く聞こゆる
題『終』 にて
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