両手でも抱えきれない夢を持つ少女の背中を押すベルの音
題『手』 にて
夕暮れに 誰かを想い 泣いていた あの日の君が 浮かんで消えて
題『君』 にて
兄からの ふるさと色の 絵葉書を 月にかざして 酒を飲む夜
題『兄』 にて
白黒の写真を挟んだ本棚の『走れメロス』は眠ったままで
題『白』 にて
満月も震わすほどに泣いていた君が今では双子の母に
題『自由詠』 にて
窓外の はずし忘れた 風鈴の 一人の部屋に 鳴る音哀し
題『窓』 にて
爪を切る音が好きだと猫を抱きお願いしますと言う君がいい
題『爪』 にて
左手の指輪に気づかぬふりをして傘を差しだす雨のクラス会
題『傘』 にて
いつからか 一人の部屋に 住みついた 猫の名前は まだ決めてない
題『ひとり暮らし(テーマ詠)』 にて
今日はまだ誰とも話をしていない青い空に浮浪雲ひとつ
題『青』 にて
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