便箋と万年筆と香水と最初の文(ふみ)は綺麗な月と
題『最』 にて
まほろばに名もなき人の足跡を訪ねて秋に風にたゆたふ
題『足』 にて
木もれ日にモズが鳴いたら秋を呼ぶ足下惑うサンダルの音
題『足』 にて
亡き友と学生時代のアルバムで再会果たす送り火のあと
題『生』 にて
誰にでも 生きてりゃあるさ 後悔と 未練と懺悔 消えない傷み
題『生』 にて
ベランダで 見えない月の 裏側を 見ようとしてた あの日の二人
題『部屋(テーマ詠)』 にて
追憶とノスタルジーを箱に入れ捨て切れないまま埃がつもる
題『部屋(テーマ詠)』 にて
今日こそは朝一番に捨ててやるビニール袋に入れた悲しみ
題『朝』 にて
朝七時 三番ホーム 山手線 似た人がいた 一度だけだけど
題『朝』 にて
宛名だけ書いて止まりしペン先が動くのを待つ白い便箋
題『書』 にて
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