うたの日

梅鶏

貧乏とは思わなかった風呂のない話を大人になってするまで

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梅鶏

軸足を高校指定のローファーに少し形を合わせて入れる

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梅鶏

夏の日を出港してゆく帆のように一面の水芭蕉が揺れる

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梅鶏

顔はめのパネルに「おはようおかえり」とあってそういう顔をしている

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梅鶏

せわしなく鶏舎を歩く忘れてはいけないことを忘れるために

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梅鶏

エアコンの温度を決める総帥が部屋の数だけいる夏休み

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梅鶏

いくつもの洗濯ばさみに挟まれて夏の夜風に晒されている

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梅鶏

盆を過ぎ秋めく風の確かさですべての庭に来る季重なり

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梅鶏

「あま〜いあま〜い石焼き芋」がこだまする団地は二階建ての山脈

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梅鶏

弁当の中で寝ていたタコさんを丸ごと放り込む昼下がり

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