鞘森天十里

吾が肩に枕し眠る愛(めぐ)き猫腕(かひな)を伸ばし頬に触れくる

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鞘森天十里

春雨のあとに洗車機列(つら)なりてピカピカにしても傷は消えざり

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パパ猫

順順に春草素直に揺れており見えない風をかたどっている

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澄水

ざんぶうぴはしゃぱ波の音穏やかな瀬戸の海にぞ月は沈めり

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ろくろう

人気なきエレベーターが明かり点け夜の街へと降りくるが見ゆ

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ろくろう

知らぬ間に汐みちてゐて潟なかに取り残されし夢をまた見る

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パパ猫

水張られ田植えの前の水田が紛うことなき青空になる

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澄水

黒い鳥傷負いながら飛んでいる昨日の空の在り所ゆえ

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澄水

空を舞う翼あるもの憧れる小さな空を何時か飛びたい

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澄水

鳥の飛ぶ跡を残さず執着を離れるゆえに自由なりける

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