澄水 な
澄水
めるへん ぐびぐびとビールをあおるCMに羨ましくなる下戸の我です
あさ 疎開地の流れの速い川べりで貴重な手拭い流してしまえり
サルトビ 水になれ 今も聞こえる リーの声 険しき道も 胸張り進め
パパ猫 店先のタヌキの如くあれたなら雨にも笑い風にも笑い
満月しじま 逃げ道はどこにもなくてキリキリと絞められている我の細首
満月しじま 名を呼べば咲きみだれる花のいまだ名を与えられていないつぼみ
満月しじま 便箋のひとつで終わる恋ありて春はしずかな湿りを孕む
満月しじま なにもかも春は輪郭やわらかく雨さえ愛のように思えて
満月しじま 