
な


あの春の何がそこまで嘘なのか分からないまま手を振っている

幸せになってほしいと柔らかに突き放される遠雷の午後

ことばことばことばにまみれていく短歌 くれる男とくれない男

それならばちゃんと治せる恋だけをしたいと君は震えるのです

ふんだんに春のフリルをあしらった服であなたに主張する愛

ばあちゃんの手がこんなにも美しい美しいとようやく知る帰省

にほんごが永遠に紡がれるほどあなたはいくつものあなただった

にゃんころり それは午睡のまんなかのゆるみが息を始めたような
