ちょこのん 出
ちょこのん
カンナ 墓などはいらないけれど年一度線香の香を思い出させて
恋子 蘭の鉢出窓の秋や猫眠る香り纏いて香箱座り
梅鶏 公園の船は旅には出ないのに子は幸せな顔をしている
梅鶏 捨てるだけで片付く部屋に思い出が駄々っ子のように貼り付いている
こゆびびび 出社時間 迫る長針 ブラウスの 背中と融け合う 床の冷たさ
こゆびびび なんとなく やる気が出ない 出ないなあ そろそろ行かなきゃ 行かなきゃなのに
こゆびびび 新しく 買った眼鏡で 出かけよう いつもの私は ケースに置いて
恋子 暗やみでジャンケンポンと恋遊戯グウは出さない秋の夜祭り
平見翠玉 