だいだい

巳の刻にのそり起き出す夜行性くちなは年の中年われは

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木村槿

この町で深夜を飼おう ねえ深夜、わたしのとこにずっといないで

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北大路真彦

暁の夜明けに変はる境ひ目を見遣りこの手で両目を押さふ

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北大路真彦

夜十時雨に泣き立つ標識の影黒々し「幅員減少」

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北大路真彦

雨やまず夜との境見えぬまま手探り朝をかき分け歩く

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北大路真彦

爪の先欠けて何度も擦る夜泣く母の背を思ひだす夜

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北大路真彦

夜を仰ぎ黒き天より降りて来し冷気に顔の熱さを溶かす

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薄荷。

彗星の青いしっぽを引きずって減速していく夜の自転車

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ことり

恋愛のはじまりあたりにいた頃の声で今夜はおやすみを言う

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吉村おもち

後輩に押し付けられた残業で最上級の夜景を作る

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