Coutarus ONAI

君へ貸す夜風の色のパーカーのフードのうちにはりつく桜

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Coutarus ONAI

心臓に毛が生えていて春風にそよげば君の町を歩ける

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Coutarus ONAI

郵便の投函のたび指先は世界のふちの春風を押す

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Coutarus ONAI

潮風を電気に変える翼から獣めく声聴こえ夕暮

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木村槿

風鈴の音で涙が出てしまうぼくはさみしいパブロフの犬

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山桜桃 えみ

親指で窓をひらけば「海開き いつ」に応えるように薫風

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音羽凜

実家より狭く小さい風呂だけどすでに恋しい帰省三日目

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詩季

ふるさとの入り海に立ち風つかむ「昔ここに」と言う日の遠さ

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武田ひか

誤植かもしれないけれど祖父が寿司屋の前で笑っている風景

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野歌りん

夏の匂いを含む風が髪の隙間を吹き抜けるような気持ちだ

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