袴田朱夏 うたの日
袴田朱夏
袴田朱夏 二歳児が「じぶんでやる」と下ろしゆくファスナーぶんの成長がある
中村まふゆ 聞いていた話と違う初恋の香りは錆びた手すりの匂い
梅鶏 来世への投資のようだ何処にでもある噴水に浸かるコインは
袴田朱夏 育児書のとおりに太りみどり児はわたしの箸の先をみつめる
袴田朱夏 春雷の落ちさうな雲立ち込めて乙女の声のなほ止まぬ庭
袴田朱夏 この赤でもっとかわいくなるきみを知ってるぼくをきみが知ってる
袴田朱夏 鶏頭の十四五本に急かされてひどくあかるく好きと告げたり
袴田朱夏 散文では逃してしまう 雨の日にチーズケーキを焼くあたたかさ
中村まふゆ 