
ひかり


夜されば月のひかりの浮かぶらむなべて忘るる水の香りす

黄昏のひかり優しく美しく私も溶けてしまいたくなる

そのあおは ひかりとくうき とうめいの たちのぼるねつ ため息に似た

わたくしを待っててくれる人達にひかりの雨よふってねふって

みんなからひかりをもらうしあわせなわたしもだれか だれかのひかり

愛された後の身体にひかり降りたったひとつの花になる我

はつ夏のひかりを帯びる日記帳 たったひとつの「五月」の文字で

その名前呼ぶとき君はいつもより春のひかりの表情(かお)になるよね
