シニカル和 ゆっくり
シニカル和
めるへん 砂浜の波はゆっくり寄せ返す 背中をなでる母の静けさ
パパ猫 ゆっくりと変わる季節は優しくてグラデーションで夏から秋へ
澄水 虫の音の夜のしじまをペガサスはゆっくりと飛ぶ一晩かけて
澄水 まだ暑い夏の終わりの夕暮れがゆっくりと行く脇を掠めて
にこ 下の名で呼んでと乞う君の髪の毛をゆっくりと撫でる天井を見る
めるへん 仰向けでゆっくり浮かび昼寝するいびき高らか夢見る鯨
輝く 教科書に油性で書いた氏名欄みたいにゆっくり死んでいくだろう
満月しじま この海の美しきもの見逃さぬように歌集はゆっくりめくる
満月しじま 