ろくろう

船虫は太古の姿そのままにゆるりゆるりと吾が足を越ゆ

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ろくろう

口あけて眠りてゐしか砂浜のヒトデの如く舌の乾ける

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中原鼠栞

無邪気に踊るきみ蒲公英みたいね ふらりふらいや僕のほうかな

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中原鼠栞

これあげる見返りは要らないから 甘さ少々、愛を少々

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鞘森天十里

手綱持ち鞍に跨り鎧踏む脛(はぎ)に感ずる温かき駒

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あやめ

病得て 自宅療養 する日々に 夫の植えし 三色スミレ

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パパ猫

順順に春草素直に揺れており見えない風をかたどっている

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澄水

風吹けばさざ波がする水面には小魚跳ねる水馬もいる

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みゆきち

白菜の薹立ち始まる 啓蟄に春蒔きの種 種芋の溝

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ろくろう

知らぬ間に汐みちてゐて潟なかに取り残されし夢をまた見る

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