満月しじま

願わくばスピーカーより聞こえくる声に吾の名を呼ばれたき春

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満月しじま

便箋のひとつで終わる恋ありて春はしずかな湿りを孕む

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満月しじま

寒いなら私の熱をあげるからだからひとりで震えないでよ

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満月しじま

届かぬと知るも紡いだその詩が思わずこぼれ落ちてしまった

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満月しじま

関係が終わるときには体内でなにかの音が響く気がする

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満月しじま

その方はいつも心に燃え盛る炎を抱いて生きていました

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満月しじま

「生きているうちに忘れることなんてできるでしょうか。いえ、できません」

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満月しじま

なにもかもなかったことにしたくなる秋夜はそばにいてくれないか

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満月しじま

決別の語を吐く僕と泣く君の間で香るキリマンジャロは

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満月しじま

死ぬことを恐れるように我想う あなたがほしいあなたがほしい

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