音忘信 シャツ
音忘信
袴田朱夏 水色のカッターシャツをぱんと干す妻と我とに春は来にけり
桐島あお ひとの子の血でよごれゆく戦争をはじめたひとの真っ白なシャツ
紺野水辺 シャツというシャツを揺らした春風の帰巣時刻を告げる予報士
市民 刺され染みる血の色花に隠匿し迷彩にするチンピラのシャツ
たろりずむ きのう部屋着になったばかりのTシャツの安心感でコンビニへゆく
似鳥 コインランドリーで見てるきみのシャツわたしのシャツが抱き合うところ
美富うをみ 青空は儚い夢とあきらめて整列してる部屋干しのシャツ
Coutarus ONAI シャツにつく抹茶アイスの緑色 海から雨のはじまっている
丹花ヨム 