三席

梅鶏

箪笥から衣類を次から次へ出す怪獣はいま午睡の最中

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梅鶏

箪笥から衣類を次から次へ出す怪獣はいま午睡の最中

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梅鶏

置き場所をいちいち決めてない姉が今も探している家の鍵

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梅鶏

老いる手を見ずに逝きたる人の手に重ねていたい老いてゆく手を

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梅鶏

ヒールパス 朝日はいつも東から昇る私が見ていなくても

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梅鶏

ロキソニンテープの「1」を剥ぐ 人が一人で生きていける世界で

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梅鶏

襟足の常に揃った父だった元理容師の母の手により

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梅鶏

十二月は事件が増えるサンタへの手紙を盗む大人が増えて

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梅鶏

飛車角を抜いた将棋のようにして一人暮らしがスタートを切る

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梅鶏

フィリックスガムのハズレがほんのりと匂いを残したまま捨てられる

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