三席

梅鶏

教室は静か 露国の来ることもなく読み聞かす「おおきなかぶ」を

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梅鶏

押し入れで見つけた「TK その8」のMDを聴く術がもうない

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梅鶏

背負っていた秋を平地の隅々に下ろして山は雪のストール

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梅鶏

干し柿の一日前は柿ですか干し柿ですか眠れぬ夜に

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梅鶏

焼き色をじっと見つめて過保護とは焦げる際までわからないもの

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梅鶏

ぽつり、ぽつり庭木を濡らす雨のごと昔話が始まっていく

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梅鶏

空想を膨らませつつ待っている午前十時に開くベーカリー

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梅鶏

貧乏とは思わなかった風呂のない話を大人になってするまで

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梅鶏

顔はめのパネルに「おはようおかえり」とあってそういう顔をしている

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梅鶏

せわしなく鶏舎を歩く忘れてはいけないことを忘れるために

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