京都文芸歌壇

袴田朱夏

踊り場として踏む五月 夏までに上りきったら忘れるはずの

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袴田朱夏

やわらかな漸近線が一秒ののちに雀となりたる地面

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袴田朱夏

晴れなのに中止になった遠足の踏まれなかったタンポポそよぐ

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袴田朱夏

葉桜のほうが好きだという母の手はこんなにも小さかったか

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袴田朱夏

いもうとの春のピアノのわたしにはないテヌートの正しさを聴く

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袴田朱夏

まだ寒い春たくさんの花びらの行方のひとつとして君の肩

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袴田朱夏

花びらを忘れたと言いおさな児が十秒止めた春の嵐電

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袴田朱夏

初雪をかぶった並木道を抜けシュトーレンならナッツねわたし

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