八重森さくら。 冬
八重森さくら。
御影堂 歩 もう二度とやってこないだろうこの春は肩をすぼめて冬へと歩む
御影堂 歩 アキレスの踵に刺さった金の矢が抜けずにそのまま冬へと歩む
成瀬悠 休んだら沈んでしまうではなくてちからを抜いて浮かぶ冬空
成瀬悠 それぞれのクジラを探しにでかける冬空を刺す垂直の糸
土井みほ 知ることをやめたアザラシ目を閉じて冬のプールの茶柱となりぬ
とーしろう 冬が来て雪がふわふわ舞い降りて山では熊が冬眠をする
恋野つづる 「夏」の字を抱えて生きた貴方が言う 「冬のおでんがいちばん美味い」
あまがっぱ スマホ越しめんこいねって言う人の冬の深きを思う如月
北大路真彦 