
君


下書きのままのメールの件名が「さよなら」だった君のパソコン

冷え切った布団の中で触れ合ったその手は君の救いになるか

擦りむいた膝が治って君はもう振り向かないで進むんですね

告げられた君の名前をもう一度抱き締め直すように呟く

君もまた通り過ぎ行くひとだからかつて愛した言葉をあげる

パソコンと睨めっこする君の手にそっと移していく36度5分(ろくどごぶ)

ほっぺたをふわりと撫でていく風を君と思って泣かせてほしい

大空を飛びきったころ戻ります 君だけを進入灯として
