今紺しだ

聴診のように黙って待っていよう胸の小箱が開かれるまで

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今紺しだ

化学式は記されてゆく グラタンを待つ先輩の紙ナプキンに

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今紺しだ

栞紐は昨日のままにしておこう「待たせた?」の声に閉じたページで

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今紺しだ

展示室8で来世の君を待とう滅びた「ヒト」の剥製として

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木村槿

寒いなと寒さをじっとたしかめる時間をいとしく思うバス待ち

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森谷伊織 

始まりの時を待つ万雷の手拍子まるで雨、雨、雨、雨、

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御茶ノ水 啓太郎

たえだえにかかれる峰の雲間よりほのけくいづる待宵の月

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文月郁葉

吊革をつかみ続けて次にくるカーブを待つてゐる私たち

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佐藤理江

明け方を待たず静かに燃え尽きぬ一家心中未遂の車

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朝田おきる

天国の待合室にごく薄くきよしのズンドコ節が流れる

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