木村槿

早咲きの菜の花みたく恋は来る曇天ぐうっと押し上げながら

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羹鱠

「寒いね?」と 君がつぶやく 白い息 湯気立つ椀に 鶏の羹

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羹鱠

君に逢い 君に惹かれて 君想う そして初めて Vに恋した

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羹鱠

朝ノ凪 忍ぶ思ひを 偲ぶれば 波打つものは 我が身なるかな

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羹鱠

霧雨を 蛇の目片手に 佇めば 真白の手毬 君にあるかな

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羹鱠

月の夜は 忍ぶ思ひを 偲ぶかな 雲間に見ゆる 初の水無月

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羹鱠

天の川 奏づ琴の音 しるしせむ 待つも久しき まほろばの夢

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羹鱠

九夏の夜 寝入り難しと 過ごすとも まこと熱きは 君への思ひ

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羹鱠

秋風に 流るる処暑や 涼しかる つきぬ思ひぞ おどろかれぬる

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羹鱠

八夜に照る 重ね咲きたり 沢花火 名を掻い消つとも 取る手は常し

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