袴田朱夏

関節に見入つてしまふ中指が猟奇が丘の春に遊びぬ

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麻衣

波音は思い出だけを連れ帰る 砂を指から溢して遊ぶ

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あと少し指を回せば凪ぐ風を呼吸に渡す 声がきこえる

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紺野水辺

地球儀を辿る小さな指先がイルカの群れを引き連れている

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千吉

風見鶏冬の魔風の命令で地獄を指して素知らぬふりよ

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戸伏 楽辺流

はごろものチョーク引きずる先生の白き心と指はよごれつつ

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梅鶏

白杖をメトロノームのようにして冬の指揮者が足早に行く

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諏訪灯

遅れてる時計の針を進ませる指から飛び立つ透けた三分

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葛葉

迷い込む夜空と小指で誓う恋どちらも無限に続く路

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高橋良

約束げんまん小指立てるは日本のみならぬしぐさと学生に教はる

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