秋吉諄 指
秋吉諄
露置みつる 駆け抜けろこーるおんみーぴたぴたに雪にまみれて目指すまほろば
sail 「じゃあまたね」開閉ボタンを押す指の震えが消えない 帰らないでよ
ふにふにヤンマー 国境を目指す母子を待ち受くる運命の岐路ほどの星空
八木辰 カサついた指を吐息でぬくもらし耳をすませば鳴る消防車
柔らかい時計 優しさとチョークで荒れた指先に触れえぬ夜は鞄を抱いて
土井みほ もう二度と君がわたしを探せぬよう指でずらした北斗七星
梅鶏 鍵盤をららし、ららしとたたく子の人さし指はもう春らしい
今紺しだ シリウスのように見つかる一冊に人さし指をかけて引き抜く
北大路真彦 