北大路真彦

手羽先の油の指をおしぼりで何度拭くやら霜月の宵

0
玖嶋さくら

髪を編む母の指の端やわらかくやっと娘になれた気がした

0
今紺しだ

親指が画面にふれる面積は君が世界にふれる面積

0
Coutarus ONAI

窓にまだ君の指紋の残りおり雨の消せない体温として

0
音羽凜

ポストから昨夜別れた恋人の親指に似た何かがのぞく

0
はとサブレ

さみしさにやられないよう心からいちばん遠い指から冷える

0
朝田おきる

親指を上げて溶鉱炉に沈む私の右手を誰も見てない

0
音忘信

顔を掻く時に私が立てているこの中指に気づいてますか。

0
詩穂

林檎むく指先しんとつめたくて白鳥たちはシベリアからくる

0
Coutarus ONAI

郵便の投函のたび指先は世界のふちの春風を押す

0