木村槿

乱反射したよろこびが町じゅうをめぐって春がやってきました

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尼崎武

春ですね あなたのいない停車場にときどき水がたまっています

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ふにふにヤンマー

春風に奪われてもいい一面の綿毛の中に帽子を投げる

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光恵

暖かな小春日和の風受けてシナモンロール半分にする

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Coutarus ONAI

心臓に毛が生えていて春風にそよげば君の町を歩ける

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Coutarus ONAI

郵便の投函のたび指先は世界のふちの春風を押す

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Coutarus ONAI

電柱を辿れば海へ着くだろう春から夏へ変わる口笛

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とみた律

噴水が上がるのを待つ子どもらが春を待てずに外す手袋

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とみた律

花束を持つ青年とすれ違う誰かを思ふ春色の風

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