ミイラ60000世 朝
ミイラ60000世
光恵 おはようと小学生に言う我は朝だけ教師の真似事をする
恋野つづる 記名のない上履きを履く足りなさで部屋を出てゆく朝が来たから
恋野つづる 一斤の直方体を切り分けて 切り分けただけ来てしまう朝
鈴木精良 朝靄のたすけられずに醒めるゆめ 泣いているのはわたしのほうで
光恵 朝早くキッチンにいるわたくしをそっと見ている娘がいるよ
六厩めれう 広告があふれるような朝刊を読む花束と祖父は語りき
今紺しだ もう会わないことの過飽和溶液の結晶化して胸を刺す今朝
今紺しだ いちばんに来た教室で耳すます あのホルンこそ君の朝練
多賀みなみ 