袴田朱夏 母
袴田朱夏
梅鶏 ああそうか鶏なのかとり肉は 祖母は逆さにして首を切る
かめ 若い頃叔母さん見る度こうなるの?今じゃ私が言われる方
ながれいし 認知症 母の失敗ネタにして嫁が笑って少し悲しい
かめ 争って誰が幸せ?聞いてるか?あなたの母は何を教えた
五月雨薊 亡き母の戸籍謄本を取りに行く北区役所にジャズが流れる
梅鶏 踏み台へ登り卵を溶きながら子は一時のおふくろとなる
もえ 宅急便母の便りは滲んでる餅ついたよと書き添えており」 「角を曲がり見えなくなるまで手を振って母の老い先しあわせであれ」 「優しくてただ優しくて母の手のぬくもりだけが今も忘れじ」 「ふるさとの鳥がねぐらに帰る村吾も母の手を握りて居りぬ」
梅鶏 まだ母の小言がつづく そろそろと浸水をする玄米二合
恋野つづる 