塩本抄

湯布院を真白く覆う雲海にふとため息の落つ豊後富士

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木梨

今日もまた自分を育てぬ日曜日 四月の路地はぬる湯の心地

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梅鶏

七歳の娘ひとりで湯に浸かりうでのうぶげをこする六月

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梅鶏

行間を泳ぎ疲れた者たちが集まったかのような銭湯

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アゲハ

豆挽いて漏斗に移し湯を注ぐあっ夜明けだね新聞受けに

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梅鶏

棚湯から昇る朝日に手を合わす湯船の中の誰も彼もが

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鈴木ベルキ

湯たんぽに実家の犬の名をつけてひとりの部屋を温めている

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羹鱠

「寒いね?」と 君がつぶやく 白い息 湯気立つ椀に 鶏の羹

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梅鶏

幼子が十を数える湯のなかで七だけずっと浮かんでこない

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