入瀬

渡さない手紙に封をするようにスクールバスの窓をなぞった

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もえ

「ぼんやりと灯りし窓辺月光り冴えて語りし彼方の空よ」

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千吉

不夜城の勤めを終えて白い富士車窓が呉れた何とやらんに

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木村槿

ひだまりは大きな犬で窓際にわたしと犬の長い沈黙

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森公房

暗い部屋オムツを替える。窓を見て降る雪を見て君の頬撫で

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甘森太一

退屈を連れ出すように開け放つ窓の外には冬晴れの空

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起きたとき窓から光の洩れること 泣きたくなって透明な青

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高橋良

ベトナム人学生ネパール人学生車窓より見ゆる朝日を撮りぬ

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ハナマチ

窓枠に三日月ひとつ絵のように残して明日この部屋を出る

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瓜野櫂

昼に窓磨きをせりまた夕餉のち同じ力もて歯を磨くなり

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