パパ猫

忘却に甘んじていた記憶たち出番は来るか色めき立つ夜

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山下萌々子

肉厚な胡蝶蘭の柔肌に爪を立ててはそっと触れたい

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山下萌々子

グズでノロマで役立たずな自分の首を絞めては殺せずにいる

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中原鼠栞

泣いてもいいのだ人の子よ負けてもいいから、必ず立ち上がれ

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手毬花

菜種梅雨子の巣立ち部屋片付けて昔の写真に手が止まる

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めるへん

腹立ちて小石を強く蹴りたれば足は腫れしが心は晴れず

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鞘森天十里

我が街に桜並木のあるゆゑに書を借りに行く道も浮き立つ

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鞘森天十里

鞍はづし湯気立ちのぼる裸馬バケツに汲みし水飲み干しぬ

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鞘森天十里

火に懸かり口開けもがく蜆らの悲鳴を湯の立つ音がかき消す

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恋子

薄茶立てひとり優雅の花見して恋茶に遠き桜餅食む

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