ひーろ 茶
ひーろ
青い まだ誰も 起きない朝に 匂い立つ 雪に紛れて 山茶花が呼ぶ
柔らかい時計 夕焼けは叶わぬことを知っている白い山茶花染められぬこと
土井みほ 逃げそうなしあわせばかりをすくい上げ茶わんの中に金魚を飼いをり
ほのふわり ゆらゆらと新茶しずかに冷めてゆき祖母は今日さえ忘れてしまう
木村槿 生きることは絶えず麦茶を沸かすことふたりでいてもひとりでいても
土井みほ 知ることをやめたアザラシ目を閉じて冬のプールの茶柱となりぬ
冬寂 手をつなぎ歩きたかった胡桃堂喫茶店から徒歩3分は
梅鶏 種まきを終えた子どもの右頬に証のような茶色いレ点
北大路真彦 