冬野水槽

焼香は済ませたけれどまだ彼にかける言葉が思いつかない

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冬野水槽

「好き」だとか「綺麗」だとかを言えなくて「良いと思う」で言葉をにごす

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成瀬悠

北風に取られないよう猫背になって急ぎ足 枯葉転がる

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梅鶏

振り向かず諭吉と英世と一葉が「暫く留守にするから」と言い

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北大路真彦

雨やまずただ冷えてゆく味噌汁の鍋午後からは葉書を書かむ

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北大路真彦

松葉杖突きし男児の背を追ひて傘差す母の背も濡れてをり

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北大路真彦

泣きもせず笑ひもせずに腕の無き人形庭の枯葉と燃ゆる

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袴田朱夏

夕焼けで葉を染めあげるお仕事です小人の秋はノルマがきつい

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今紺しだ

濃青色沈殿[ターンブル・ブルー] によどむ記憶から君の言葉をよりわけていく

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今紺しだ

ケータイを両手で持てば初雪の一片目として受け取る言葉

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