音忘信

少年は雲を見ていた 母親はそれを大切そうに見ていた

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あまがっぱ

年老いたピアノは別れを惜しみつつ親子連弾胸に刻んだ

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たろりずむ

親の目を盗んでつまみ食いをしただけで傷害罪に問われた

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梅鶏

母親の中では僕は幼子で卵ボーロが今でも届く

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sail

祝日になり損なった赤色を黒マジックでなぞる母親

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今紺しだ

親指が画面にふれる面積は君が世界にふれる面積

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音羽凜

ポストから昨夜別れた恋人の親指に似た何かがのぞく

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深山睦美

この両親から産まれてきた人たちはこんな親からも産まれています

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朝田おきる

親指を上げて溶鉱炉に沈む私の右手を誰も見てない

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山桜桃 えみ

親指で窓をひらけば「海開き いつ」に応えるように薫風

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