梅鶏 読売歌壇
梅鶏
梅鶏 始発から終日運休するバスが寄り添い揺れている駐車場
吉村おもち このビルは外から見れば灰色で中から見ればもっと灰色
袴田朱夏 日が長くなりましたねと君が云い「たね」が芽吹いて春が始まる
梅鶏 ドライブスルー抗原検査を待つあいだフロントガラスに消えてゆく雪
吉村おもち ためらわず大人になれるファミレスの順番待ちの列に並べば
吉村おもち 餅のない汁粉をすするつまらないことに重きを置いたっていい
音羽凜 喧嘩したときの厚みのままそよぐ日めくりはまだ八月にいる
古武成美(桜並木) 初恋に会うため湖西線に乗る 少し遠くにえり網が見える
袴田朱夏 