
部屋


仄(ほの)あをき灯(あかり)の部屋に二人きり黙り込むとき深海になる

種類などどうでもよくてただきみを抱きしめるだけの部屋をください

記名のない上履きを履く足りなさで部屋を出てゆく朝が来たから

部屋のなかで見えなくなったガムテープのゆくえを気にしながら駅まで

青空は儚い夢とあきらめて整列してる部屋干しのシャツ

前髪も部屋の掃除も気づかないその「ただいま」は誰に言ってる?

地下鉄に踏切がないかのごとくきみの部屋には僕はいなくて

孤独死を必然と呼ぶ角部屋の合鍵はそこ、アネモネの下
