音忘信 雲
音忘信
塩本抄 もやひとつずつ手触りを確かめてから雲にする 電話をかける
袴田朱夏 あの雲の高さから落ちたにしてはやさしい雨だ さよなら、ディラン
恋野つづる 雲と雲 ほつれた空を縫うように青いカンバス翔けるジェット機
冬野水槽 蝉の殻 痛いくらいの群青に薄れていったきみという雲
野添まゆ子 ピュアそうな真白き雲のある空は大人みたいだ本音が見えない
ひーろ 靴紐は不死鳥に似て何度でも結びなおせる 湧きあがる雲
てる 雲のない遥かな空の上澄みを光矯めつつ遁げてゆく翳
まつたく 冬雲の重みを感じベランダへ「泣きそうね」って俺のことかよ
uvm 