NHK短歌

だいだい

葉の色を青と呼びなす国にいて君の静脈しずかになぞる

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だいだい

三万歩あるいた夜にぼんやりと身体の中に私がいない

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だいだい

上海の公園にいて年をとる太極拳の波に揺られて

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だいだい

ビニールをぱつんぱつんにふくらませ春のヨモギを母さんにやる

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だいだい

待ってなどいない深夜の空港でここには本を読みに来たんだ

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だいだい

ゴール裏が映し出される一瞬に君を探してしまうこの眼は

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だいだい

すき焼きの生卵ごと吞み込んでそんな男は早く忘れろ

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梅鶏

二番目も高校受験浴室の隅の黒かび擦る春の日

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だいだい

完了形になったあなたが現れて進行形のようにふるまう

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だいだい

たっぷりと残った汁に浮いているメンマのようにとてもひとりだ

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