だいだい

図書館で初めて会った小説のただ一行が見返してくる

待ってなどいない深夜の空港でここには本を読みに来たんだ

ゴール裏が映し出される一瞬に君を探してしまうこの眼は

若さごとしゃぶった口は真実をもう語らないジャニー喜多川

すき焼きの生卵ごと吞み込んでそんな男は早く忘れろ

ヴィオレッタのアリアは昇るどこまでもついていきます中年の耳

完了形になったあなたが現れて進行形のようにふるまう

たっぷりと残った汁に浮いているメンマのようにとてもひとりだ

何だって上から言えば通るのか一千ヘクトパスカルの不機嫌

鷗らがひらりと盗む魚まで飛んでいるよう港の朝に

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