平見翠玉

体力の衰えし人なれど爪だけは伸びおり入浴後切る

来世では石になりたしと言う人私は木に生まれ変わりたい

おむつになればお洒落なショーツも履けぬ下着とて女心

病棟に小さな盆栽置かれおり共に命の在る限り咲く

おむつ替え手に残る爪の傷跡父の握力まだまだ健在

仕事終え一人でワインゆっくりと誰にも邪魔されず飲む夜

亡き人を思い続けその人は生き続けている私の中に

辛いに一を載せたら幸になる後の一歩で何かが見える

亡き人の年数えては思えどもその人変わらずそのままに

川の流れは変わりゆく人も変わる我も変わりて時間は流れる

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