梅鶏

梅鶏

無理矢理に花の命を繋ぐごとワイシャツに糊を効かせてしまう

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梅鶏

ぽつり、ぽつり庭木を濡らす雨のごと昔話が始まっていく

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梅鶏

空想を膨らませつつ待っている午前十時に開くベーカリー

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梅鶏

子の描いた複雑すぎる家族画で唯一解る妻の偉大さ

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梅鶏

貧乏とは思わなかった風呂のない話を大人になってするまで

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梅鶏

軸足を高校指定のローファーに少し形を合わせて入れる

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梅鶏

夏の日を出港してゆく帆のように一面の水芭蕉が揺れる

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梅鶏

顔はめのパネルに「おはようおかえり」とあってそういう顔をしている

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梅鶏

せわしなく鶏舎を歩く忘れてはいけないことを忘れるために

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梅鶏

エアコンの温度を決める総帥が部屋の数だけいる夏休み

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