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ひーろ
ひーろ
到着が早すぎたから開演を一番星のように待っている
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ひーろ
ひーろ
打楽器を奏でるようにポケットというポケットに鍵をさがすひと
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ひーろ
ひーろ
スタートの号砲はなくただ母が静かに腕をまくるキッチン
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ひーろ
ひーろ
常温の暮らしの中にあのひとの傘だけずっと凍てついている
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ひーろ
ひーろ
行き先も速さも違っていただろう自転車たちを積んだトラック
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ひーろ
ひーろ
全身を雨の着地点にして佇んでいる止まれの標識
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ひーろ
ひーろ
電車だけえんえん巡るジオラマのプラットホームで春を待つひと
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ひーろ
ひーろ
実直なひとでありたいとりあえず午後の紅茶は午後に味わう
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ひーろ
ひーろ
番犬に番犬らしく吠えられてわたしはわたしらしくのけぞる
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ひーろ
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さみしさを隠して綴る泣きながら泳ぐさかなのような手紙だ
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