みゆきち

みゆきち

山を越え谷を越えても未熟にて酸いも甘いも噛み分けられず

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みゆきち

サイネリア 袴姿の娘の胸のはずむが如く小花を揺らす

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みゆきち

姑の愚痴を流しつふと思う その悪口は愛の言葉だ

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みゆきち

白菜の薹立ち始まる 啓蟄に春蒔きの種 種芋の溝

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みゆきち

ハナミズキ大きく花芽をふくらませ思い馳せるかポトマック川

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みゆきち

口つぐみ 足音だけは雄弁で さわらぬ神にたたりなしの日

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みゆきち

髪を切り襟立て歩く帰り道 陽だまりの中猫の集会

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みゆきち

道の端ぞろぞろぞろと子らがゆく 走るわたしはそろりそろりと

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みゆきち

思い立ち 庭のよもぎの新芽摘む 在りし日偲ぶ手向けの草もち

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みゆきち

庭先にたわわに実るゆず悲し 女あるじの逝くを知る弥生

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