パパ猫

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夕焼けの遠くに霞む新宿の高層ビル群なぜに物悲し

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痛みとはいつも遅れてやって来る傷ができてもすぐに気づけず

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線路わき緑濃き草ゆれなびく皐月の風にも電車の風にも

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藤棚はまるでシャワーを浴びるよう むらさき色の光の粒の

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連休の帰省叶わず故郷の蛙の声を無性に聞きたし

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コンビニはこんな時間も明かりを灯し寂しい人の不凍港なり

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ほろ酔いの深夜は時空を歪ませてどこから聞こえる夜汽車の汽笛

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会うことも叶わぬ人の面影の黒田清輝の湖畔の人よ

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美空ひばり戦後の焼跡舞い降りた天使だったとあの人は言った

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妻と書く宿帳哀し熱海の夜 昭和は遠くなりにけり

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