上原美樹。

上原美樹。

そう そっと みみをすまして かんじてよ ひぐらしのこえ 過ぎてゆく夏

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上原美樹。

彼《か》の地へと いま 旅立たん 君の手と たましいに ただ すがりつく 我

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上原美樹。

鬼籍へと 向かう彼方に なたねつゆ わが恋とわに 置き去りのまま

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上原美樹。

電線に 絡めとられる 満月を あやとりでとる うさぎよ 跳ねよ

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上原美樹。

父となり 夫となった 恋人は もとは息子で だれかの子ども

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上原美樹。

まだみるい 柊の葉の きみどりを 滑るる光  触れて行くなん

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上原美樹。

暮れ染むる 空にたなびく 叢雲の 影となりゆく 山の稜線

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上原美樹。

赤き血を 流す 吾が子は 赤き血を 流させる 吾子 やめよ いくさを 誰も望まぬ 戦を 止めよ

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上原美樹。

目の前に 今 いる ひとも わたくしも 母の胎《はら》から うまれた いのち

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上原美樹。

唐突に  落ちるかりんの おと響き すずめとびたち  のちに静寂

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