今紺しだ

今紺しだ

僕よりも優しい君の、僕よりは多く隠しているはずの傷

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今紺しだ

のみこむしかないと言われた正解が細胞膜を通過できない

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今紺しだ

樹形図の上を歩けば折れた枝に実った未来は甘そうにみえる

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今紺しだ

化学式は記されてゆく グラタンを待つ先輩の紙ナプキンに

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今紺しだ

買い物もトイレ掃除も僕がやる 大人になったら一緒に暮らそう

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今紺しだ

椅子の脚も机の脚もその影も直線のまま放課後が来る

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今紺しだ

君の記す数式たちが遠い星に引き寄せられてノート羽ばたく

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今紺しだ

いちおうは大人だけれど保健室の扉をノックしたい日もある

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今紺しだ

窓という窓が鏡に切り替わる夜景の中へ滑り出すとき

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今紺しだ

夜、きみを不誠実だと断じると淡雪たちも我を支持する

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