北大路真彦

北大路真彦

午後三時白き病室ひとり名も知らぬ母子を黙し見下ろす

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北大路真彦

今日もまた閉ぢられて在る硝子窓見上げ過ぎれば風は冷たし

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北大路真彦

珈琲に渦巻くミルクかき混ぜず無言で見詰む午後五時の祖母

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北大路真彦

朝六時サンダル履きの散歩道涙が出るほど深き海色

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北大路真彦

立冬の朝「サムタイム・サラジェーン」友の葬儀を思ひ出し聴く

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北大路真彦

降り止まぬ秋雨寒し 焙じ茶で舌を火傷す三時、四時、五時

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北大路真彦

寝付けずにサティを流し臥す和室天から匂ふ朝四時の雨

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北大路真彦

図書館に逃げ込む雨の朝 遠く雷疼き思ひ出す肌

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北大路真彦

日焼けせし畳を踏みて一時間読経終はらず坪庭眺む

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北大路真彦

また四時に寝覚め冷たき床を踏むこの世に誰も居らぬ夢見て

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