小野りす

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きんいろの溶けたバターのひだまりに老いたる犬のはるかな眠り

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小野りす

宣告ののちの生こそまぶしけれけふもわが身をめぐる血のあり

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小野りす

そののちに雨は降りたり地に在りし生者と死者のうへにひとしく

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小野りす

シーシキンの森あかるし星墜ちるやうにあなたを忘れてゆかむ

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小野りす

新大阪にきみを見送る泣くことの少なくなつたほそながき背を

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小野りす

みづいろのマーブルチョコを選りて食む 鳥だつたころに見た湖(うみ)のいろ

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小野りす

乳牛のまなこ愛(かな)しもゆつくりともの言ふひとと午後を過ごせり

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小野りす

空を恋ふすがたに立てりわたくしと樹形をさらす冬のけやきと

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小野りす

筆順をおぼえられない吾子の手がちからでゑがく馬といふ文字

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小野りす

白無垢が死装束となるまでの一生(ひとよ)にはびこる凌霄花

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